自慢の庭を愉しむ家[KNH]

KNH
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水戸市に新築した2世帯住宅です。

もともとこの敷地に建っていた家に住んでいたお母さまと、近くに住んでいらした息子のKさまのご家族が住むための家です。
Kさまのお子様が、将来的には戻ってきて同居する予定とのこと。

ご依頼いただいたのは、事務所が水戸市大町にあるときに、Kさまが偶然にも同じビル内に入る会社に勤めていらして、ビルの1階に設置していたPR用モニターで毎日作品を目にしていらしたことがきっかけでした。
ハウスメーカーも何件か回られたとのことでしたが、最終的に気に入った案に巡り合えず、あらためて、ご依頼いただくことが決まりました。

当初のご希望は、次のようなものでした
・これから歳を重ねていくので平屋建ての住宅に
・いつでも濡れたものを干して乾かせるサンルームがほしい
・以前の家が湿気がこもりがちだったので、通気のよい部屋にしたい
・大容量の納戸をつけたい
・セキュリティ面から玄関ホールなどはできるだけ細い窓にして外から見られないようにしたい

これらに加え、打ち合わせを何度か重ねていくうちに、次のような大胆なご意見が出てきました。
・南側に向けてすべての部屋を学校みたいに並べたい

Kさま邸の敷地の南側には手入れの行き届いた素晴らしいお庭と畑が広がっています。
庭師さんが入って綺麗にしているというよりは、ご自分たちがお好きで丁寧に心を込めて手入れをされているという風情のお庭で、いつ伺っても見とれてしまうほどの美しさです。
おそらく奥さまは、どこのお部屋からもそのお庭を楽しめるように、と考えられたのだと思います。

ただ、部屋を横並びにするとどうしても動線が長くなって生活しずらい空間になるのでは?という懸念がありました、当初は中庭をつくる案を考えたりもしたのですが、何よりも南側にとてもいいお庭があるので中庭をつくっても蛇足になること、そして、奥さまからスケッチやお手紙をたくさんいただきながら打ち合わせを重ねていく中でイメージが明確になったことで、一部屋をのぞくすべての部屋──さすがにすべての部屋を並べることはできなかったのですが、そのほかの部屋──お母さまの部屋、LDK、3つの個室を全部ずらっと南側の庭に面して並べる案が完成しました。

一部屋だけ北側に配置したのは、ご主人のKさまの部屋です。
北側は北側で竹林があり、とても落ち着いた風情があるいいロケーションです。

いずれの部屋にも大きな開口を設け、家のどこにいても、風が南から北へ抜けて室内に湿気がこもらないよう配慮しました。

外観は、可能な限りの部屋を東西に並べたので、かなり横に長い建物になりましたが、単調にならないよういくつかの棟に分割して屋根をかけ、ボリュームを抑えるよう工夫しました。
また、庭には大きなもみじのほかいろいろな木が立っているので、道路側から見ると、木々が自然のルーバーのようになって、建物の外観にほどよい陰影をもたらしてくれることも幸いしました。

玄関先には、Kさまのご希望で長く大きな庇を付けました。庇の下は、庭仕事の合間に休憩をしたり、お花を並べたり、椅子を出してお茶を飲みながら庭を眺めたりできる、土足で利用するテラスのような空間となっています。
前述したとおり、庭にはたくさんの木があり葉っぱがつまってしまうため、樋(とい)はつけず、その代わりに地面に玉砂利を敷いて雨受けとしています。

内装については、共用部分とお母様のお部屋はご提案し、個人スペースについてはそれぞれそのお部屋は使う方に選んでいただいたのですが、それぞれの個性がかがやく空間となりました。

LDKでこだわったもののひとつに照明があります。
Kさまご夫婦は60代なのですが、これまでのご経験から「照明は一部屋にひとつ」と考えがちです。
実際は、「必要な場所に必要な明かり」、「空間の雰囲気を変えたいときに役立つ照明」があると、空間の表情がとても豊かになり、生活をより快適に彩ってくれます。
K様邸のLDKには、間接照明やスポットを使い、明るさも気分に合わせて変えられるものを選びました。

これはあとで聞いた話ですが、当初は照明についてKさまがとても心配されていたそうなんです。
「こういう照明じゃ暗いんじゃないか」と。でも、実際使ってみると、すごく落ち着く照明になってよかったとおっしゃってくださいました。

また、お母さまの部屋の照明には、以前のお家で使われていた細かな細工が施された美しい欄間を照明カバーとして用いました。こちらも「前の家で親しんでいたものが使われて、親近感が増す」と、とても喜んでいただいています。
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建設地 茨城県水戸市
構造 木造 平屋建
敷地面積
延床面積 164.71㎡
竣工 2014年
業務内容 新築設計監理
担当 友常奈津子