上質な素材を使った家[AKH]

牛久市に建つ新築2階建ての住まいです。 設計に際してのご希望は、ご夫妻の生活空間は1階にまとめ、2階はお嬢さまの空間とすること。 また、Aさまがタイルや天然石がお好きなので、外装・内装ともにできるだけよい上質のタイルや石を、なるべく安価で取り入れたいというものでした。

Aさまのご意向を受け、建物の外装は総タイル張りとしました。 タイルは魅力的ですがどうしても価格が高くなり、外壁全体に使うことはなかなか具現化しないことが多いのですが、今回はAさまたってのご希望ということもあり、なるべく安価にかつ美しく仕上げてくれる腕のよい職人さんを探し当て、価格を極力押さえながらも、外構の門塀まで含めた、外壁の総タイル張りを実現することができました。

玄関ポーチと表札には、Aさま自ら選んだブルーパールと呼ばれる高級な青系御影石を使用しています。

上質な素材を使いシンプルにまとめた1階の空間

内部は、1階と2階とで大きく表情が変わります。

ご夫妻がおもに過ごされる1階は、20畳のLDK、12畳の寝室、8畳の和室とバス・トイレからなるゆったりとした空間構成です。 各所に上質の素材を使い、シンプルなデザインで統一して、落ち着いて過ごせる空間に仕上げています。

キッチンは特注のシステムキッチンを用意しました。 キッチン台の上の吊り戸棚は、「一度物をしまうととりだしにくい」という奥さまのご希望から取り付けず、代わりに下部に必要な食器や道具類をすべて収納できるようにようにしました。 そのため、かなり大きなシステムキッチンになっていますが、上部がすっきりしているのと、戸棚に明るい木材を使用しているため、ボリュームはあっても軽やかな印象のキッチンに仕上がっています。

広々としたLDKや寝室は、ご夫妻の希望で、あまり強い日差しは取り込まないよう設計し、全体に穏やかな明るさの空間となるようにしました。 キッチンの上方には細長い窓を設置してライトウェル(光井戸)を作り、年間を通じて柔らかで落ち着きある照度が保たれるよう工夫しています。

LDKや寝室の壁の一部にも、Aさまの希望で消臭機能のある珪藻土のタイルを使い、アクセントとしています。 タイルの凹凸は照明によって壁に柔らかい影をつくり、空間により深みを与える効果があります。 外壁と同様、内部で使用したタイルも高価なものですが、それに見合う役割は空間の中で十分に発揮していると感じます。

タイルはどうしても欠けやすい面があるので、設計する際には、なるべく角を出さないようにしたり、生活の中で角が直接当たらないように配置するなど、かなり慎重に気を配る必要がありましたが、内部区間においてもうまく処理することができたと思います。

職人の伝統技が発揮された和室の格天井

8畳の和室には、見事な格天井(ごうてんじょう)がつくられています。 格天井とは、寺社建築などに多く見られる、木を正方形の格子に組んで裏板を張る天井のことで、制作には非常に高度な技術を要します。 たまたま施工を担当した大工職人が──80歳近い現役の職人さんですが、優れた伝統技術を持った人で、「この和室でぜひ格天井をやらせてもらえないか」と願い出て、Aさまが「任せるよ」と応じたものです。 採算を度外視しても、この家づくりに自分の持てる技術のすべてを注ぎたいという職人の気持ちを、Aさまも粋に感じ、快く応じられたのだと思います。 私も制作過程を初めて目にし、貴重な体験をすることができました。 たいへんな迫力と品格に満ちた和室が完成しました。

カラフルで個性的な2階空間

さて、2階へと上がる階段から、この家はまったく違う表情を見せます。 ピンクのばらが描かれた可愛らしい壁紙に導かれて階段を上ると、カラフル&ドリーミーな壁紙に囲まれた空間が現れます。 ここはお嬢様が使われる空間です。床から天井まである作り付けの白い建具には全面にガラスがはめこまれ、棚の背面にもこだわりの壁紙が貼られています。 手前の部屋から階段2段分を上ったところにある寝室(下のリビングの天井が高い分、2階の床面にも段差をつけています)には、こちらも個性的な、黄色地に紺色の花が大胆に描かれた壁紙が張られています。 これらはすべてお嬢様が選ばれたものですが、決定するまでに、候補となる壁紙をいくつもご提案し、それぞれにパース画(遠近法を使って描かれたイメージ図)を作成してイメージの共有を図りました。 これほどのパース画を作成したのは私にとって初めての経験で、その甲斐あって唯一無二の空間づくりを行うことができ、お客さまにもたいへんご満足いただくことができました。

門塀・カーポートまで含め住まいをトータルにデザイン

AKHでは、住居のほか、外構・カーポートまで含めた設計の依頼をいただき、住まいとしてのトータルなデザインをご提案することができました。 通りから見たときの門塀の角度なども何度も打ち合わせをして細かな調整を行い、Aさまご家族が心から安心感と快適さを得られる住まいを、Aさまご家族とともにつくりあげることができたように思います。 家づくりに携わる者として得がたい経験をすることができ、Aさまご家族に感謝の気持ちでいっぱいです。


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建設地 茨城県牛久市
構造 木造 2階建て
敷地面積
延床面積 128.15㎡
竣工 2015年11月
業務内容 新築設計監理
担当 佐藤昌樹 宮本崇雄