100年の歴史をしっかりと引き継ぐ“新築の家”が完成しました

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  • H.Gさま
  • 3人
  • 茨城県水戸市
  • 2012年12月
もともとこの土地に建っていた家は、築100年を超える古い古い家でした。
私が生まれるずっと前からの時間が刻まれた家で、祖先たちの暮らしの跡や、私自身の小さいころからの思い出が、それこそ幾重にも折り重なってしみ込んでいるような、とても居心地のよい家でした。
この先もずっと住み続けるつもりでした。
しかし、先の大地震でたいへん大きな被害を受けまして。
あちこちが崩れてしまったので、残念ながら、取り壊して建て替えることを決意しました。
母屋とつながっていた3階建ての歴史ある蔵もやはり被害を受けたので、同時に取り壊し、家と蔵で使われていた素材をできる限り再利用するかたちで、新しい家を建てたいと考えました。

さっそくいろいろなハウスメーカーを見て回り始めたのですが、なかなかしっくりくるところがみつからず、どうしようかと思いあぐねていたとき、たまたまインターネットでエイプラス・デザインさんのサイトを見つけました。
事例紹介を眺めていると、中に「古い家の素材を利用して新しい家を建てる」という、まさに私たちが希望する家づくりの例を見つけまして。「もうここしかない!」とうれしくなりましたね。

さっそく連絡を取って事務所を訪ね、以降、担当の友常さんとおよそ半年間、打ち合わせを重ねました。
友常さんには、旧家の取り壊しの際にも立ち会っていただき、素材の選別をしていただきました。
私たちが使えると思っていたものがじつは使えない状態であることがわかったり、逆に、思いもよらなかったものを「使いましょう」と提案していただいたり、視点の確かさと、発想力、創造力を実感しました。

このような過程を経て、歴史ある旧家の素材がさまざまな場所に活かされた、私たちの「新しい家」が誕生しました。

再利用した素材で、もっとも目をひくのは、リビングの天井の高い位置に通された太い梁です。これは、蔵の最上階に使われていたもので、家を訪れた客人たちは、必ずその存在感に感嘆の言葉を洩らします。

また、和室の床の間に「床板」として使われた大きな一枚の石は、以前は玄関で使われていたもの。
石を床板にするなんて、素人にはちょっと思いつかない使い方ですよね。違和感なく、どっしりとした存在感を放っていて、とても気に入っています。
玄関に設えた大きな一枚鏡や雰囲気のある照明器具も、旧家で使っていた100年ものです。

私自身、日曜大工が趣味で、古くてあちこち傷んだ「鍵付き箪笥」を、自分で洗いにかけ、時間をかけて修理したりしていたのですが、友常さんは、リビングの真ん中にその箪笥を置く場所を設けてくれました。また裏鬼門方向には、家に代々伝わる「鬼門様」を納める箱もしつらえてくれました。

ふり返ってみると、友常さんやエイプラス・デザインのスタッフの皆さんは、いつでも、私たちが何をいちばん大切に思っているかに心を配り、私たちのなかにある「家」のイメージを具体化していってくれたように思います。
お陰さまで満足のいく「新しい家」が完成しました。

この家の誕生と同時に、わが家に孫が生まれました。 これからは、孫の誕生日を迎えるごとに、家の「年齢」にも思いを馳せることになります。
これまでの100年の歴史を継承するこの家が、これからは、孫やその先の世代の歩みを、末永く見守ってくれることになるでしょう。
旧家が壊れてしまったのは残念でしたが、このような満足のいく形にしてくださり、お陰さまで、新たな始まりの形をつくるよいきっかけとなりました。